「国民救援会が指定する弁護士を呼んで下さい」

開店の数分前に到着した。
ガレージの脇に自転車を置き、スマホを眺めていると、シャッターが開いた。

買い物を済ませて、外に出ると、自転車が無い。

周囲を見渡しても、自転車は見つからない。

「盗まれたのかな?」と思っていたら、ガレージの中に自転車があることに気づいた。

「誰が、入れたのか。邪魔だから、動かしたのかな」と思いつつ、ガレージに入ろうとすると、見知らぬ男性2人が、寄ってきてきた。

気にせず、荷物を自転車の籠に入れようとすると、1人の男性が、私と自転車の間に立ちふさがって、「この自転車は、貴方の自転車ですか」と聞いてきた。

「ええ」と答えようと相手の顔をみたら、目つきが鋭い。

気づいたら、カレージの壁を背にした私の前に、2人の男性が立っている。
どうやら、囲まれたようだ。

すると、別の男性が「貴方の名前は?どこから、この自転車に乗ってきたのか」と尋ねてきた。

自分のおかれている状況が理解できない、と思った時、巡査がガレージに入ってきて、2人の男性と何やら話をしている。

どうやら、2人は刑事のようだ。
スーツを着ていたから、パッと見では、わからなかったが、鋭い目つきと、質問内容から、ある程度察しがついた。

巡査と2人の話が終わると、刑事が、改めて「この自転車の持ち主は、貴方ですか?」と、聞いてきた。
自転車泥棒と勘違いしているらしい。

「まじかよ」と焦った。
自分の自転車なんだから、焦る必要はない。
だが、3人の警察官に囲まれ、自転車泥棒だと思われている状況だから、やはり、焦る。

「早く、答えろ」と言わんばかりに、私に、威圧的に詰め寄ってきた。

私は、その瞬間、「私を窃盗の容疑者としたうえでの質問ですか」と、切り返した。
それなら、「黙秘権を行使して答える必要はない」と思ったからだ。

そして、すかさず、「では、国民救援会が指定する弁護士を呼んで下さい。話はそれからです」と言った。

警察官は意表を突かれたらしく、急に「いやあ~、最近、自転車泥棒が多くて。貴方が乗ってきた自転車が、被害届のあった自転車と酷似していたものですから〜」と、態度を急変させた。

「形勢は逆転した」と、思った瞬間。
携帯電話のアラームが鳴った。

どうやら、夢だったらしい。
ということで、寝起きが悪かった、今朝でした。