政府答弁は信用できませんって!希な憲法学者が「徴兵制は違憲ではない」と発言したことにヒトコト

昨年(2014年7月)の閣議決定で、「集団的自衛権の限定行使」は、現行憲法下で可能とする解釈の変更を行いました。理由は、「安全保障環境の変化」「砂川事件自衛権を肯定している」「限定された集団的自衛権の行使で武力行使と一体化しない」などなど。

この解釈変更は、180度の大転換でした。だって、従来の政府解釈は、「集団的自衛権の行使は違憲」と歴代の総理大臣、内閣法制局長官が国会で繰り返し答弁してきたから。

現在、その具体化として、「集団的自衛権行使法案」(戦争法案)が国会で審議されています。私が見る限り、政府の答弁は支離滅裂で、完全に「政府の憲法解釈」は完全に破綻しています。

また、多くの憲法学者が「違憲だ」と表明する一方で、見つけ出すことが困難な「合憲論」の立場の憲法学者が、「徴兵制違憲ではない。政府の解釈は間違っている」と表明していることが判明しました。

以前、私は、片山さつき議員が「徴兵制違憲にするものではないというのが通説」と発言されたとき、「憲法の基本書」に基づいて憲法学界の「通説」について検討・紹介したことがあります。

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昨日(2015年6月19日)の国会審議で、辻本清美議員(民主党)が徴兵制について質問しました。

「(憲法学者の)3名の方はご自身のイデオロギーや主張に合わせて、菅さんが名前を挙げられた方ですよ。私、この3名の方のご主張を調べてみたんです。3名とも、この徴兵制憲法違反とする政府の解釈は間違いであると、ご主張されている方でびっくりした。ご存じでした」(辻元清美衆院議員

 「そのことは私は知りませんでした。それはあくまでも憲法学者の一つの意見だろうと思っています」(菅義偉 内閣官房長官

 「あービックリした」の一言です。「集団的自衛権の行使」が「違憲でない」と主張する3人の憲法学者が、そろいもそろって、「徴兵制」が「違憲でない」と。政府の解釈が間違っているんだと、言ってるんですね。

いやー、政府の先を突っ走ってますね。まあ、菅官房長官も「1つの意見」と言わざるを得ませんよね。政府に都合の良い解釈には耳を傾けるけど、その都合の悪い意見は「1つの意見」「素人」と言っているくらいですから。

今、菅官房長官が、「徴兵制違憲でない」と答弁したら、それこそ、大混乱ですよ。だから、菅官房長官がどう思っているかは別として、徴兵制問題は「封印」しておかなければならないんですよね。

ただ、自民党の議員には、片山さつき議員は「徴兵制違憲でないとするのが通説」とまで言ってるわけで、「違憲でない」と考える議員が存在するんですから。

 

横畠裕介内閣法制局長官は19日の衆院平和安全法制特別委員会で、徴兵制憲法解釈の変更によって認められることはないとの認識を示した。「単なる環境の変化で法的評価が変わるはずもない。今後とも違憲という判断に変更はあり得ない」と述べた。

 内閣法制局長官も「違憲」だとし、この判断に変更はあり得ない、と答弁しています。

 

でも、この答弁って、信用できるんですか?というのが、率直な思いなわけですよ。「集団的自衛権」を「違憲」と戦後一貫してきた態度を、閣議決定一つでコロッと変えてしまったわけですから。

はっきり言って、もう信用できませんというのが、少なくない国民の思いではないでしょうかね。