「砂川事件最高裁判決」の次は、72年見解を持ち出すのか

毎日新聞(5月11日)は

政府は、集団的自衛権の行使を容認するため、1972年の政府見解「集団的自衛権憲法との関係」を根拠に、憲法解釈を変更する方針を固めた。72年見解は、外国による武力攻撃で国民の権利が根底からくつがえされる事態に対処するため、「必要最小限度の範囲」で自衛権を行使できるとしている。近年の安全保障環境の変化で、「必要最小限度の範囲」に集団的自衛権も含まれるようになったとの考えを打ち出す。

と報じました。

政府内では当初、最高裁が59年の砂川事件判決で示した「自国の存立を全うするために必要な自衛のための措置」に集団的自衛権が含まれると解釈し、行使を容認する案が有力だった。

しかし、公明党などから「砂川判決当時、想定していたのは個別的自衛権だけだ」などと批判が噴出。現在でも集団的自衛権の政府の立場を説明する際に引用される72年見解を新たな根拠とする方針に転じた。(同上)

 

政府見解が二転三転していますね。

そもそも集団的自衛権は、自国が武力攻撃を受けていないにもかかわらず、密接な関係にある他国が武力攻撃を受けた場合、その「戦争」に参加することで、「現行憲法上、認められていない」というのが、これまでの政府の見解です。

政府は当初、アメリカへのミサイル攻撃や艦船が攻撃を受けた場合などを説明の根拠にしていましたが、専門家などから批判を浴び、「砂川事件最高裁判決」を持ち出しました。またしても、批判が噴出した結果、72年見解を新たな根拠にすると。

しかし、72年見解は、これまでの政府見解(国会答弁)から、あくまでも個別的自衛権について述べたもので、集団的自衛権の根拠にするのには無理があります。また、安全保障の環境が変化しているとの理由は、憲法規定をないがしろにする態度といわなければなりません。

仮に、集団的自衛権についての説明だとしても、現行「憲法上禁止されている」のであり、慎重姿勢の公明党に対する説得材料にはならないでしょう。