「地球の裏側」で日本を守っているなら、「個別的自衛権」で法的整合性はとれるのか

東京新聞(4月7日・電子版)は

自民党石破茂幹事長は7日、集団的自衛権の行使容認に向けた安全保障法制整備推進本部(石破本部長)の2回目の会合で講演し、日本を守るため活動する米艦船を自衛隊が防護する場合、個別的自衛権の拡大で法的に整合性をとるのは困難との見解を表明した。憲法解釈変更による行使容認に慎重な公明党の主張に反論した格好で、与党の溝が一層鮮明となった。

と、自民党の石破幹事長の講演を報道しました。

これまでも、集団的自衛権の行使を想定したケースとして、「アメリカの艦船を日本の自衛隊が守る」ということがあげられてきました。

しかし、両国の艦船が近接した場合、集団的自衛権でなく個別的自衛権で対応が可能なことは、専門家からも指摘されています。一方、距離が相当程度離れた場合については、そもそも、自衛隊がアメリカの艦船を守ることが出来るのか、疑問が投げかけられています。というか、現在の自衛隊の能力では、守ることは無理ということです。

この場合は、個別的自衛権でなく、集団的自衛権の範疇に入りますよね。まあ、日本の艦船が攻撃されたとみなせませんから、あたりまえと言えば、あたりまえです。

石破幹事長の講演は、この立場にたっているのでしょう。理にかなっています。

注目したいのは、「公明党の主張に反論した」と言うことですね。推測ですが、公明党は、世論の批判に対し、集団的自衛権ではなく、従来の日本政府の憲法解釈で認められてきた個別的自衛権で何とか説明したいのでしょう。でも、それって、無理ですよね。そもそも、攻撃の対象がアメリカの艦船ですから、いくら日本を守っていると言っても、日本が攻撃された訳ではありませんから。

日本を守っているなら個別的自衛権で対応が可能というなら、地球の裏側で「日本を守っているんだ」との理屈で、個別的自衛権が認められるのかって、無理すぎますよね。

ですから、こうした場合を想定して

 石破氏は会合後の記者会見で、集団的自衛権行使のため自衛隊が「地球の裏側」で活動する可能性について「想定しにくいが、起こらないと最初から決めて事態に対応できるのか」と述べ、排除すべきでないとの持論を重ねて示した。

という主張になるんだと思います。

さて、公明党は、どんな解釈を持ち出すんでしょうか。楽しみですね。