切なさの中に笑いがある。「ホームレス川柳 路上のうた」(ビッグイシュー日本編集部〔編〕)

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ようやく手に入れました。「ホームレス川柳 路上のうた」。

知らなかったのは私だけ? 意外と知られていないビッグイシューのコト - どーも。たくお、です

「ホームレス川柳 路上のうた」の存在を知ってから、約2ヵ月。「いつもの場所」に、販売員さんがいないので「体調を崩しているのか」「路上生活から抜けだしたのか」と、さまざまな思いを巡らしながら「いつもの場所」を見ていました。

ようやく、昨日、出会えました。

「路上のうた」とは(「はじめに」から参考)

福岡で、雑誌「ビッグイシュー日本版」の販売員さんが川柳を作り、毎号の雑誌と一緒に配られています。その販売員さんと友人の計6人が、路上での生活を川柳にして、その数は800句にもなりました。

この川柳をいつか本にしたいと思い、300句を選りぬき、念願の本としてまとめたのです。

本書は、第1部「ホームレスの四季」として、春、夏、秋、冬と4つの章からなり、第2部は「ホームレスを生きる」として、食べる、住まう、着る、まち・仕事、暮らし・生きる、つながり・仲間と6つの章から、構成されています。

正直、「笑っていいのか」と思った

「第1部・ホームレスの四季」夏の章から、1句、ご紹介します。

食べ物の 賞味期限は 舌に聞け

読みはじめから、笑いが止まりませんでした。と同時に、ホームレスの人たちは、厳しい状況のもと、どこから、これらの句を創作する意欲が湧くのだろうかと、不思議に思いました。

私からすれば、もはや「神」の域に達している。このような言い方をすると、誤解を招くかもしれませんが、「ホームレスを楽しんでいるのではないか」と思うくらい。

いや、決してそうではありません。

一日も早く、ホームレスという状況から抜け出したい、との思いなんですよね。でなければ、ビッグイシューの販売員をしていませんから。

「とんでもなくはじけた句集だ。度肝を抜かれた。」

この言葉は、作家の星野智幸氏が、巻末に書いている「解説」の出だしの一文です。

その数行あとに「読むたびに笑いが止まらない」と。私は「あー、笑っていいんだよね。川柳なんだから」と、なぜか、ホッとしました。最初に「解説」を読めばよかったと思いました。

その後は、家族がいる場所で、声を出して読み上げ、大笑い。時には、長男が「きっつ~」と声をあげ苦笑いする句もありましたが、全体として、笑えます。そして、ホームレス目線で世間を見ることができます。思いを寄せることもできます。様々な角度と視点から、ホームレスを知ることができる句集です。

まさに「とんでもなくはじけた句集」なんですよ。

「路上文学賞」の創設

星野智幸氏は、ホームレスを撮り続けている写真家の高松英昭氏とともに、2010年の春、「路上文学賞」を創設します。

「路上文学賞」は第3回までを終えました。第4回の募集期間は、2015年10月1日〜10月31日まで、まだ、十分間に合います。

参考までに、応募資格と募集内容を掲載しておきます。

路上生活をしている、または一度でも路上生活の経験がある方(生活保護を受けている方もOK)、ドヤやネットカフェなどを寝場所にしている方、生活保護寮や自立支援寮に住んでいる方など、 広い意味でホームレス状態にある方。

文学作品(散文)。テーマは自由。ジャンルもエッセイや小説、ノンフィクションなど自由。

知り合いで、応募資格に該当される人がいらっしゃいましたら、ぜひ、声をかけてみてください。と書きながら「知り合いに広い意味でホームレス?」と複雑な心境になっています。

詳しくはホームページを、ご確認ください。

www.robun.info

 

街なかで、ビッグイシューの販売んさんを見かけたら、「ビッグイシュー」だけでなく、「ホームレス川柳 路上のうた」を手にとって見てください。笑えます。そして、度肝を抜かれますから。