席を譲れないサラリーマンに、「お・も・て・な・し」はできません。

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昨日のことです。

高田馬場に向かう電車が、早朝に起きたポイント故障のため、ダイヤが大幅に乱れていました。「普通」列車でも「超」がつくほど満員状態。

二歳くらいの男の子が、人に埋もれ、あげくのはてに疲れて、床に座り始めました。男の子の母親は、抱っこ紐で赤ちゃんを抱いている状態です。母親が、男の子に「ちゃんとしなさい」と言っても、言うことを聞きません。「ちゃんとできる状態」は、とっくに通りすぎていたんですね。

でも、サラリーマンの誰もが、席を譲らなかったんですよ。「なんとかしてやろう」と思う人がまったくいなかったんです。

私からは、男の子の声はすれども、姿は見えず。途中の駅で乗客が入れ替わった時、私の近くに来ました。私の隣に60歳くらいのおじさんがいて、そのおじさんが、見かねて、男の子を抱っこしはじめました。「同じくらいの孫がいるから」と。

母親は「どうもすいません」と何度も言い、男の子は、大喜びではしゃぎ始めました。「みんなに迷惑がかかるから静かにして」と母親が言いますが、やっぱり聞きません。抱っこをしていたおじさんも疲れたらしく「一度、おりようか」と。そしたら、また、座り始めました。

私が「今度は、私の番です」と言って、男の子を抱っこしました。「無理なさらないでください」と母親は言います。でも、ちらっと、顔を見たら、目に涙を浮かべていました。通常であれば、この時間帯は、空いているはず。長い間、周囲を気にしながら男の子に言うことを聞かせようとの思いと、赤ちゃんを抱っこしているからできることには限界があるなかで、大変だったんでしょう。

幸い、男の子は人見知りをせず、私に話しかけてきます。抱っこも嫌がりませんでした。むしろ「向きは、こっち」と注文をつけるくらいでしたから、私としては、助かりました。「あー、妖怪ウオッチだ」「黄色い電車だよ」と話しかけられ、それに応える私。だんだんと、母親からも離れ、姿が見えなくなりました。

サラリーマンのみなさんは、電車が遅延していることにいらだっているのか、幾度となく目線を私達に向けます。私は、目をあわせず、男の子と話していました。私達が立っていた場所は、椅子の真ん前です。そこに座っていたサラリーマンは、スマホで、同僚らしき人としゃべっています。

「席を譲ってください」とは言いませんが、この親子の状況から、誰も席を譲ろうとはしなかったのでしょうか?「むしろ、こっちが迷惑」「うざい」としか思っていなかったんでしょうか?電車が、駅で待機する時間も多々ありました。「譲ろう」と思えば、いつでも、できたはずです。

まあ、それはそれでいいです。私が抱っこをしていれば、男の子は、おとなしくなるんですから。でも、これでは「お・も・て・な・し」なんてとても無理ですね。

帰宅してから、電車での出来事を話したら、長男が「みんな自分には関係ないと思ってるんだよ。大変そうな人がいたって、無関心、無関心」だとね。「そんなもんかなあ」と思いながら聞いていました。

私は、両腕、両足が筋肉痛です。先日のコンパネ運びより、いい運動になりました。下半身が鍛えられた感がハンパないです。電車が揺れるたびに、片腕はつり革に、もう一方の腕は男の子を落とさないように抱え、両足で踏ん張ってましたからねw

いっそのこと、揺れに乗じて「椅子に座っているサラリーマンの膝の上に座ってやればよかったなあ」と今更ながら、思っています(笑)

 

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