わたしは、本書を読むまで「アスペルガー症候群」について間違った認識をしていました。
「アスペルガー症候群」とは、自閉症の中で知的発達の遅れがないものをいう。
「自閉症」の一種なんですね。
自閉症は、社会性の障害や他者とのコミュニケーション能力に障害・困難が生じたり、こだわりが強くなる神経発生的障害(英語版)の一種。先天性の脳機能障害とされるが、脳機能上の異常から認知障害の発症へといたる具体的なメカニズムについては未解明の部分が多い。時に、早期幼児自閉症、小児自閉症、あるいはカナー自閉症と呼ばれる。
一般的には、広汎性発達障害(PDD)グループの5疾患のひとつである自閉症スペクトラムのうち、いわゆる従来型自閉症と呼ばれるもの(あるいはスペクトラムピラミッドの頂点に近いところに位置している状態)を、単に「自閉症」と称することが多い。(Wikipediaより)
これだけ読んでもわかりません。要は、「先天性の脳機能障害」ってことですね。
著者は、40歳にしてアスペルガー症候群の診断を受けました。精神障害者保健福祉手帳も所持しているそうです。ただ、普段は、フィットネスクラブでエアロビをしたりと、「ごく普通なおじさんだ」といっています。
まだ、誤解や偏見は多い
みなさん、「アスペルガー症候群」ってご存じですか?ってここまで、自閉症の一種だとか、書いておきながら、「なに言ってんの?」と思うかもしれません。でも、あなたの身近にアスペルガー症候群の人がいても気づくでしょうか?適切な対応をされているでしょうか?ほとんどの人が「わからない」でしょうね。
本書では、医師でさえもアスペルガー症候群についてしらないことが多く「どのようなことで困っているのか?」と著者に聞くほどですから、まだまだ、世の中に知られていない「病気」なんですね。
ですから、誤った理解に基づき間違った対応をしていると、例えば、会社の同僚などが「変なやつだな」と思うことがあり、本人もつらいでしょう。なので、アスペルガー症候群について、知っていただく機会が必要だと痛感しました。
アスペルガー症候群の人の特徴
いくつか、アスペルガー症候群の人の特徴を挙げましょう。
①あいまいな指示に弱い
例えば、飲み会で上司から「適当な時間で帰ってもいい」といわれても、「適当な時間」がわからないです。
②計画を立てることが苦手
例えば、資格試験を受ける場合、勉強するペースや時間配分などができないです。
③成果が出るまで反復を繰り返すことは苦にならない
先ほどの資格試験の例でいうと、合格しなくても、合格するまで頑張ります。ただ、上司や同僚から「何回、受けてんだ!」と怒鳴られることがあり、それで悩んでしまします。
④マルチタスク能力が普通の人より低く、仕事に対する精神的なキャパシティが小さい
同時に、複数の作業ができないってことです。また、簡単に言ってしまうと、精神的に弱いので「パニック」になりやすいんです。
⑤音に敏感
ある程度予想できる音だと問題ないんですが、予期せぬ音で「パニック」になり、大声で怒ったりします。人によって音の種類が違います。例えば、「ドアをたたく音」だったり「ものが床に落ちた音」だったりします。
⑥ひどい吃音を抱えている
強い対人緊張からきています。著者は、上司から「電話にでるな」と言われました。
ドアの鍵を閉めたかどうか何度も確認するなどです。
⑧手先が不器用だったり、字が下手だったりする(人が多いように思う)・
これは、著者の主観がかなり入っていますね。
本人側から「こうすればできます」と条件を伝えることが大事
「障害者に対して、周囲の人は『あれもできないし、これもできない』と考えがちだが本人側から『こうすればできます』と前向きに条件を伝えることで、就職も可能になるのではと思う。」
アスペルガー症候群で、上司や同僚と上手くいかず、リストラされたりした著者。就職活動でアスペルガー症候群のことを伝えると、どうしてもネガティブにとらえられがちのようです。
このような場合は、本人から、「どのような条件だったら、なにができるのか」を伝えることが大事だといっています。面接官の理解を深めることが大事なので、それを本人から言うことで就職もできるという意味でしょう。
アスペルガー症候群の診断には三日必要なんです
①一日目は、心理士が成育歴についてヒアリング。
②二日目は、心理テスト。
③三日目に、医師による診断。
三日目でようやくアスペルガー症候群かそうでないか、また、別の「病気」なのかの診断がされます。三日もかかるんですね。これ、逆に言うと、自己診断は無理ってことですよね。むしろ、しない方がいいんです。間違った認識でいると、本人も周囲の人も戸惑いますからねえ。自己診断は禁物です。
自分が「アスペルガー症候群かな」と思うのであれば、専門医を受診することが大事だと、改めて、思いました。かといって、大人の専門医は、まだまだ、少ないのが現状です。
著者も、専門医と行政の支援が必要だと強調されていました。
おわりに
どうでしたか。アスペルガー症候群について、理解は進みましたか。本書のエッセンスを、アスペルガー症候群の人の特徴についてご紹介、させていただきました。すべて読み切った、わたしも正直、「よくわからないなあ」というのが率直な思いです。
アスペルガー症候群の人の特徴についても、当てはまる人が少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。不安になった人もいるでしょう。でも、社会生活が問題なく送れているのであれば問題ないと思います。
気になった人は、先ほど述べたように専門医を受診された方がいいですね。