「債権各論Ⅱ 不法行為法第2版」を読んでーきっかけは原発事故の損害賠償金への課税問題

潮見佳男先生(京都大学)の著書です。

基本講義 債権各論〈2〉不法行為法 (ライブラリ法学基本講義)

基本講義 債権各論〈2〉不法行為法 (ライブラリ法学基本講義)


きっかけは、「原発事故の損害賠償金に課税するのは、けしからん」という声でした。

通常、損害賠償金には課税されません。

しかし、自営業者が、事故によって営業できなかった場合などに、その損失を補填するための損害賠償金は「所得」とされ、課税対象になります。

私は、「そもそも課税すること自体がけしからん」のか、「課税対象とされることによって税金を支払った場合、手元に残るお金が少なくなるからけしからん」のか、わかりませんでした。

当時は、「だったら、税金分を加えた金額を請求すれば」とも思いました。

が、よく話を聞いてみると、「そもそも、損害賠償金が少なく、その上、課税されるから、けしからん」のだと。

それは、おかしい、と思いました。

今回の原発事故は、想定されていた自然災害に加え、その対処のために必要な対策を怠っていた東京電力と、その態度を「黙認」してきた歴代政府との共同責任だからです。

課税するなら、政府は、東京電力に対して、厳しく指導すべです。それをせずに、一方的に課税するのは道理が通りません。

とまあ、いろいろ考えたのですが、そもそも、「損害賠償とは」「不法行為とは」と思い始めました。

原発事故の賠償に関する書籍は少なからず出版されているので、「手っ取り早く」というなら、その手の書籍を探せば良いのですが、私は、「大本から出発して」というスタイルなので、「不法行為法」に関する書籍を探し始めました。

しっかりと「回り道」をするのです。
「一歩、一歩、進む」とも言えますね。

結論先取りは、その場はしのげても、応用力がつかない。だから、あえて、回り道をするのです。

それで、出会ったのが「不法行為法 第2版」でした。

で、「結局どうなんだ」と聞かれれば、まだ、結論は出ていません。

しかし、どのような行為が「法律的」に不法行為となり、その不法行為による被害者が損害賠償請求をするにあたっての「作法」は理解できましたように思います。

また、「自己情報コントロール権としてのプライバシーの権利」侵害については、今の仕事に役立つ内容で、参考になりました。

とりあえず、一通り読み終えたので、感想を記しました。

最後まで、お読みいただきありがとうございました。