憲法解釈の変更によって「集団的自衛権の行使を可能にする」ために様々な、「想定」が政府・自民党によってなされています。
しかし、現在、「想定」されている事態は、すでに破綻しているか、「現実的でない」との批判がなされています。安倍首相の国会での答弁の破綻ぶりを、「しんぶん赤旗」(2014年3月14日・「主張」)を参照しながら見てみましょう。
アメリカ(やグアム)に向かう弾道ミサイルを撃ち落とせるのか
グアムに向かう弾道ミサイルは高高度を高速で飛ぶため、日本のミサイル防衛システムで撃ち落とすことが技術的に不可能なのは、政府自身も以前から認めていた。
安倍首相は、「もし将来、技術的に可能となった場合、(中略)撃ち落とす能力があるのに撃ち落とすことはできないのか」(2014年2月10・衆院予算委委員会)と答弁を修正しました。
日本に迎撃能力がないことを認めたのです。
公海上で近くにいる日本のイージス艦が防がなくていいのか
米国のイージス艦が攻撃を受けた際、近くにいる日本のイージス艦がこれを防がなくて良いのか、という議論です。
専門家は
日米のイージス艦が近くで一体的に活動していれば日本側への攻撃とみなして反撃できる
と指摘しています。
安倍首相は
両艦が水平線を越えてお互い見えないほど離れていることがある
と反論しています。
しかし
離れている場合には、逆に、米艦への攻撃を防ぐのは技術的に不可能
だといわれています。
石破茂さん(自民党幹事長)の著書を読むことのすすめ
以上については、石破茂さんの著書(2014年2月20日発行)で詳しく述べられています。集団的自衛権をめぐる諸問題について、政府や自民党の「想定」を系統的に把握するには、「良い本」ですので一読をお勧めします。
最後に
集団的自衛権の行使に関わって、ここまで、非現実的な「想定」をするなら、原発事故が起こる現実的な「想定」をした方が、よほど有益と思いますが、みなさんは、どう思われますか。