政府の滑稽な集団的自衛権行使「限定論」

毎日新聞(5月3日)は、

政府は、集団的自衛権の行使を「放置すれば日本が武力攻撃を受ける」事態に限定し、自衛隊を他国の領土、領海、領空には原則として派遣しない方針を固めた。限定的な行使容認にとどめることで、慎重論が根強い公明党との妥協点を探る。

と報道しました。

 

明らかに、政府の、これまでの集団的自衛権の行使とは、別の論点にすり替わっていますね。もともと、集団的自衛権は、他国が無力攻撃を受けた場合に、参戦するというものですよね。それを、「放置すれば日本が武力攻撃を受ける」事態に限定するのであれば、集団的自衛権を持ち出すまでのなく、個別的自衛権で対処できるはずです。

結局、公明党との妥協点を探るということのみに目が向いて、「限定行使論」を拡大しているだけで、これまで以上に矛盾を広げただけでしょう。

 

しかも、

ただ、弾道ミサイルなど軍事技術の発達や国際テロ増加によって、何を「放置すれば日本が攻撃される」事態と判断するかは難しい。日本から離れた場所で発生した戦争でも、「放置すれば攻撃される」と判断すれば参戦は可能になり、裁量幅が広がれば「限定容認」が有名無実化する恐れもある。

(同上)。

と指摘されているとおり、武力攻撃が発生していない段階での「自衛権行使」を認めている点で、では、どのような場合に「放置すれば日本が攻撃されるか」といえるのか、きわめて曖昧かつ抽象的です。

このような判断基準をもとにして、集団的自衛権の行使を容認するというのは、とうてい認められないと、私は、思います。

政府は、とにかく、集団的自衛権の行使容認に踏み切るにあたり、様々な「限定論」を持ち出していますが、その「限定論」自体が、滑稽で、さらなる国民の疑問や批判を招くことになるでのはないでしょうか。