政府の移住促進策は高齢化対策でよいのか?先行する杉並区と静岡県・南伊豆町との連携から考える若者の移住

私は「移住したい人」です。でも、先日、家族にボコボコにされました。

まあ、突然だったのと、妻が勝手に「家族と離れ(て、さらに離婚もし)たいと思っているのでは」と考えたからなんですよね。私の話の順序が逆だったと反省しています。

高齢者が希望に沿って地方に移住できる環境を

これ↑、民間の有識者で構成する「日本創世会議」の「東京圏高齢化危機回避戦略」(2015年6月4日公表)という提言の一部なんですよ。

簡単にいうと、東京、神奈川、千葉、埼玉の高齢化に焦点をあてて、10年後には、医療・介護施設や人材の不足が深刻化すると。

で、国や自治体に対して、移住費用の支援や、お試し移住の導入などに積極的に取り組めと、いってるんですよ。

その上で、移住先候補として、具体的に41の地域を挙げているんですよね。基準は「医療・介護に余力がある」ことです(過疎地は除いています)。

石破茂地方創世担当相は「地方に移住したいという希望を妨げる要因があるなら、それを除去することは政治の仕事だと考えている」「日本版CCRCの実現を検討している。要介護になってからではなく、希望があれば元気なうちから地方に行くことが今までの地方移住の考え方と違う」と述べており、私が「あれっ」て思ったのは「元気なうちから」という下り。

今までの地方移住の考え方と違うって、私がイメージしていた移住とは、かなり違うことを考えていたんだなぁと。

だって、年をとってからだと、地域になじみにくかったり、引っ越しも大変だったりと、「よいしょ」と気合いを入れるのも大変ですからね。考えすぎかもしれませんが。

ちなみに「CCRC」とは、アメリカで普及しているモデルで、元気なときから介護が必要なときまで同じ施設で暮らせる制度のことです。

杉並区は静岡県や南伊豆町と連携し、特養を整備

杉並区は、40年以上も前から南伊豆町と交流している。なので、このような連携が具体的にすすむんですね。

すでに、動き始めていて、2018年に開設予定とのこと。オリンピック前じゃんか。

杉並区としては、特養の待機者を減らしたいとの考え、南伊豆町は、雇用や経済への波及効果を期待していて、両者の思惑といってはなんですが、一致するということです。

ただ、このようなモデルケースとでもいうのでしょうか、こうした連携が、うまくできるとは限らないんじゃないか。むしろ、費用負担の問題や、子どもたちや孫など、家族との行き来など、課題が山積しているのではないかなと率直に考えてしまいます。

高齢化対策でなく、若者対策としての移住を

やっぱり、高齢化対策という枠組みで考えるのには、無理があるんじゃないでしょうかね。高齢化対策は必要ですが、地方が今抱えている、雇用や地場産業、伝統文化の継承などを考えると、むしろ、若者対策として移住をとらえ直すことが必要なんですよね。

そのための社会的インフラの整備や空き家対策なども含め、地方に分散・移住できる環境づくりを、政府が率先して行うことが必要はないかとね。

そのような環境が整えば、「杉並区民は南伊豆町へ」との限定ではなくて、もっと、選択肢が広がります。

さらに、高齢化対策だと「高齢者受け入れ地域」のようなネガティブなイメージになってしまって、どうしてもマイナス面が露出してしまします。

それを、若者に魅力ある街づくりという視点に転換すれば、ポジティブで明るいイメージにもつながるんですよ。そして、高齢者も元気に暮らすことができる。そうすれば、街全体が活性化するのではないかなぁと考えます。

そのような視点で、政府や自治体の移住支援策の充実を期待しますよ。

で、「移住」がもっとメジャーになれば、我が家の移住も現実味をおびてくるって考えるのは甘いですか。