まだ、「リニア新幹線」に夢見てるの?スピード重視が人間性を破壊するんです

「こだま」での旅は、快適でした。名古屋から品川まで2時間40分かかりましたが、「のぞみ」とくらべても、プラス30分ですよ。

以前は、「同じ料金で、余計に時間がかかるのは納得できない」と思っていましたが、まったく、逆の考えに変わりました。何が大きく変わったかというと、気持ちに余裕ができたんです。だから、精神的に良かった、ということ。私なりの言葉で言うと、人間性を取り戻したって感じです。

「リニア新幹線」は必要なのか素朴に感じた

「リニア新幹線」のメリットは、スピードの速さと時間短縮。

「のぞみ」は時速約300キロですが、「リニア新幹線」は時速500キロだそうな。その結果、最短で品川〜名古屋間が40分。品川〜大阪間だと1時間7分です。

上井草(自宅)〜品川まで約40分ですから、同じ時間で、名古屋まで行けるんですよ。いやあ、便利になりすね。多くの人が、そう思うのもわかります。

旅行には、いいかもしれません。しかも、今の試算では、「のぞみ」料金にプラス700円〜1,000円で「リニア新幹線」に乗れるんですよ。

でも、そこまで、時間短縮し便利にしてどうするのか?なんでも、早けりゃいいっていう考えに疑問が生じたんですよね。

しかも、すでに、高速道路も充実し、新幹線もある。飛行機だってある。時間はかかるけど、高速バスだってあるのに、これ以上、新たな交通網を作る必要はあるのかと。

はっきり言って、もうこれ以上、必要ありません。

スピード重視は「リニア新幹線」にとどまらないんです

ネットでも速さ重視、仕事でもスピード重視、勉強もいかに短時間で回答を導き出すのか。資格試験でも、予備校では「最短合格」が売り、ですよね。あー、学校の体育でも速さ重視。運動会の徒競走は、足の遅い子にとっては嫌だったでしょうね。飲食業界でも、回転率をあげるため、何分以内に注文された品を出すことがノルマになっている。

すでに、日本社会は高度成長期以降、スピード重視社会になっているんです。だから、スローフードから派生して、スローライフが提唱されるようになったんですよ。

スローライフのキワードは「ゆっくり、ゆったり、心ゆたかに」です。

いい言葉じゃないですか。特に「心ゆたかに」という言葉は、現代社会で失われた「心のゆたかさ」を取り戻そうって。逆に言うと、「ゆっくり、ゆったり」でないと、「心ゆたかに」ならないってことではないですか。

だとすると、「リニア新幹線」は、その真逆になるんですよね。今より、さらにスピード重視の社会になる可能性があります。なるでしょうね。

サラリーマンの労働環境は過酷になる

元同僚が、SEに転職した後、様子を聞いたら、東京〜大阪間の出張は日帰りが原則。朝一の新幹線に乗って、最終の新幹線で帰ってくる。それが、その業界ではあたり前になっているそうな。そうしないと、競争に勝てないんですよね。宿泊すれば、その分、コストがかかりますから。

私の事務所では、仕事の内容にもよりますけど、東京〜大阪間だと、宿泊が原則。前日に大阪入りし、一泊して、現地で打ち合わせ、夕方には新幹線に乗るという、余裕のある出張です。他と比較して、なんとホワイトな事務所なんでしょう。

このような比較をしていると、どんどん、ブラックな方に向かわざるを得なくなるんですよね。あっちができて、なんで、うちでできないんだ、とね。悲しい比較をするんですよ日本の企業社会は。

今でさえ、このような状況ですから、「リニア新幹線」ができると、もっと過酷になります。

人体に及ぼす影響考えたことありますか?

地下40mに設置される品川駅を出発したリニアは、首都高速中央環状線山手トンネルの下をくぐるため一旦、地下80mまで下りた後、東京都内から神奈川県にかけて大深度地下で通過。営業線にそのまま転用される山梨実験線を経て海抜約250mの「山梨県駅」(仮称)を過ぎると、40パーミル(1000m進むごとに40m上がる)という急こう配を駆け上がり、山梨県駅から西におよそ40km、南アルプストンネルの中に設けられる海抜1209mのサミットを目指す。

 時速500kmで走るリニアにとっては、山梨県駅から5分弱の距離である。だが乗客は、この間におよそ960mの高低差を強制的に体験させられることになる。

六本木ヒルズ」をはじめとする国内の主な超高層ビルに設置されているエレベーターの速度は分速360mで、それに比べればリニアの垂直加速度は低いとはいえ、エレベーターの搭乗時間が1分未満なのに対して、リニアはその5倍。しかもサミットを超えると伊那谷に設けられる「長野県駅」(仮称)に向かって、今度は40パーミルで急降下していく。

 さらにこのアップダウンは、南アルプストンネルに続く中央アルプストンネル内でも繰り返される。リニアは水平方向の速度だけでなく、上下方向の移動の面でも「わずか40分の間に地下80mから海抜1200mまで目まぐるしく移動する、世界に例を見ない乗り物になる」(陸運業界紙記者)のだ。

 もちろん、リニアの車体を航空機並みの気密構造にして、軽い与圧をかければ乗客の不快は抑えられるだろうが、果たして、人体に与える影響は無視できるレベルのものであろうか。

私は、一直線で走るものとばかり思っていました。私が懸念していたのは、時速500キロの速さに人体が耐えられるのかという問題。もちろん、引用文でも指摘されているけど、「航空機並みの機密構造」にすれば、乗客の不快は抑えられるだろうと。

これらも含めて、上下のアップダウンの激しさは、初耳でした。高速ジェットコースターに乗っている感じですかね。想像ができません。

「不快」というレベルでおさまるのか。すごい疑問を感じます。

人体は、耐えられるんですかね。

どうも、今は、メリットばかりが強調されて、このようなマイナスイメージは、あまり語られない感じがします。

人間性を破壊する「リニア新幹線」はやめたほうが、いいですよ。お金の無駄。

「リニア新幹線」をやめて、スピードと利便性重視から、社員の給料を上げ、社員を増やした方が、企業イメージが上がると思いますが、いかがですかJR東海の社長さん。

私は当面、東海道線で名古屋に行きます。

「ゆっくり、ゆったり、心ゆたかに」ね。