「アリとキリギリス」の寓話の時代は、終わりました。働き過ぎで感覚が麻痺しているんじゃないの?得をしているのは企業ですよ

みなさんもご存じのイソップ寓話「アリとキリギリス」。

夏に一生懸命働いたアリと、その間、遊んでいたキリギリスを対照的に描き、アリは冬になっても生き続け、キリギリスは食べるものがなくて死ぬっていう、大筋、こんな感じでしょうか。

今や働き過ぎで死ぬ時代ですから

今となっては、と言うか、すでに以前から、働き過ぎで死ぬ人が少なくありません。過労死過労自殺などなど。働きすぎることは美学でもなんでもありません。

死ななくても、うつ病パニック障害などの精神疾患を患い、働けなくなる人は、亡くなる方の何十倍も多いでしょうね。

高度成長期なら、いざ知らず。今は、給料も上がらない、働けなくなったときのセーフティネットもボロボロです。病気になって、生活保護も受けられずに、餓死、孤独死する悲惨な出来事もしばしば目にします。

この人たちが怠け者だっていうことは、誰にもわかりませんよね。

別に、好きで「キリギリス」をしているわけでない

戦後から高度成長期、バブルの時代までは、終身雇用があたり前でした。妻は、良き妻であらなければならず、家事・育児をしながら、家で夫の帰りを待つってことが、これもあたりまえ。

でも、このような時代は、終わりました。

終身雇用ではなく、いつリストラされてもおかしくないのがあたりまえ。給料だって、右肩上がりではなく、下がることがあるのがあたりまえです。成果主義に大きく傾いてきましたからね。

以前は、正社員があたりまえ。でも今は、正社員は半数ほどで、派遣やパート、アルバイトが半数ほど。いつでも、首を切ることができる世の中なんですよね。

で、誰が悪いかって言うと、リストラされた人が悪い、ちゃんと働いていないのが悪いと言う風潮じゃないですか。会社の雇用責任ってのは、正直、二の次なんですよ。

リストラされた本人も、「俺(わたし)が、悪いんだ」と思うような思考回路になってしまってるんですよね。なかには、裁判で争う人もいますが、ごく少数です。

同僚から聞いた話ですが、うつ病になってボロボロになり、解雇を言い渡されても、なにもできないのが実態だと。そりゃ、そうですよね。ただでさえ、うつ病で大変なのに、会社に対して何か言えるわけがないし、裁判なんて無理ですよ。家で寝ているのが精一杯なんですよね。

次の仕事を探すまでには、かなりの年数が必要なんですよね。

だから、好きで「キリギリス」をしているわけじゃないんですよ。音楽さえも、できない状態なんですから。

アリはアリで働き過ぎで、感覚麻痺している

リストラされず、病気にもならない人は、happyかというと、そうでもありません。働き過ぎて、感覚麻痺しているんですよね。同僚のことさえ気にしていられない状態じゃないんでしょうか。

8時間労働とか、週40時間労働とか、労働基準法をはじめとした労働法の最低限の知識さえも持っていない人がほとんどです。政治で何が問題になっているのか、社会が抱えている課題は何か、なんて考える余裕さえないんですよね。

で、政治家はやりたい放題やれて、国民は自分の生活で精一杯の状態が、今の日本です。もう、福島第一原発の事故のことは、忘れた人がほとんどでしょう。テレビや新聞はよほどのことがない限り、報道しませんから。

すでに、安保法制のことは、報道しなくなりましたからね。

こうして、目の前の仕事に目を奪われているうちに、日本がどんどん変な方向に向かっているんですよ。

一方は、ボロボロになり、もう一方も、ある意味、ボロボロになってね。でも、元気のいいボロボロは、病気や働けないボロボロに「働けや!俺らの税金使って生活しやがって!」と言い放つ。

誰が得をするんでしょうか。

企業ですよ。そして、企業からお金を受け取っている政治家なんですよね。ここに、目がいかなように踊らされているだけなんですよね。

 

「アリとキリギリス」の寓話は、それを使って、利用されているだけなんですよね。もう、このような時代は、すでに終わっています。

そろそろ、目を覚ましてはいかがですか。