【再掲】石破氏、「軽減税率の早期導入に理解」−消費税増税は無理と言っているようなもの

朝日新聞デジタル:石破氏、軽減税率の早期導入に理解 「結論出すべきだ」 - 政治

自民党石破茂幹事長は22日夜のNHKの番組で、消費増税時の低所得者対策として軽減税率を導入することについて、「議論しなければいけない。生活必需品は下げることをやらないといけないし、結論を出すべきだ」と述べた。

消費税増税を決めた先の通常国会では、消費税を増税した場合、中・低所得者層の「負担軽減」について、何らかの措置が必要であり、その具体的内容が、国会ではもちろん、各界でも議論されたのは記憶にあたらしいですね。

当時は、低所得者への「還付措置」が、議論されていましたが、それは一見、低所得者層への配慮のように見えも、私は、大いに疑問を感じました。

それは、「低所得者層」の範囲をどのような基準で確定するのか、収入なのか、課税所得なのか、世帯収入なのか。このように、一定の収入を基準とする考え方もありますが、扶養者数等も考慮しなければ、制度と実態とのギャップが生じます。

しかも、「還付額」を一定にした場合(世帯に対して月1万円など)でも、「還付措置」に関わる実務は、国に変わって地方自治体が行うことになると思いますが、それに関わる経費は、結局、税金から負担されます。

したがって、税収が増えたとしても、その増加分から、「還付措置」に関わる経費を支出することになり、おまけに地方自治体の実務負担も増える、という不合理な制度と結果になります。

では、「軽減税率」の導入はどうでしょうか。
低所得者層対策となると、まず、軽減税率として考えられるのは、石破さんも言及されていますが「生活必需品」ですね。

しかし、「生活必需品」といっても、何が「生活必需品」なのかは、人によって、まちまちです。それを、政府が「これが生活必需品だ」といってみたところで、実態に沿うのか、庶民感覚に沿うものなのか、分かりません。
この「生活必需品」説が論議され始めた時、消費税増税を煽っていた大手新聞社が、「新聞は、(生活必需品だから)軽減税率の対象に」といっていたことに対して、「何言ってんだ」と思いました。まったく、自分勝手ですね。

また、売る側(小売店など)から「軽減税率」を見ると、どうでしょうか。
大規模店なら、一定の資金を投入して「軽減税率」への対応ができなくはないですが、個人商店では、ほとんど不可能です。

この商品は「軽減税率の対象」、「軽減税率の対象でない」というところから、日々の帳簿付けと、納税実務など、過大な負担を強いることになります。
これらは、個人商店を前提とした小売業について懸念されることですが、この懸念は、小売業にとどまりません。
製造・加工業など、他の業種にも共通するのは、多くの中小業者が、価格(下請け単価など)に消費税を転嫁できていないのす。

消費税額を価格に転嫁できない実態であるにもかかわらず、売上に、一律に課税されるのが消費税です。税金を支払うことができなければ、預金口座の差し押さえなどの「制裁措置」が待っています。

ですから、低所得者層対策としての軽減税率の導入は、一定の国民の理解が得られやすいのですが、消費税の増税は、低所得者層にとどまらない深刻な影響を及ぼすのです。

真に、消費税増税にともなう対策(低所得者対策にとどまらず)が「必要」というのであれば、消費税増税は、やめるべきですね。