私が、給費制存続運動に冷めた理由ー司法修習生よ緊張感を持て

司法制度改革の一環でしょうか、司法修習生の給費制が廃止され、貸与制に移行しました。

 

これまで、給費制の下、司法修習生には約20万円の「給料」が支払われていました。

しかし、貸与制に移行することによって「給料」がなくなり、お金が必要な修習生には、国が「貸与」することになったのです。貸与されたお金は将来、返さなければなりません。つまり、借金です。

 

司法試験制度も同時に、変化しました。

 

法科大学院を卒業するか、予備試験に合格することが、司法試験の受験資格となったのです。

この「改革」によって、法科大学院に進学するのか、また、司法試験を受験するのか、仮に司法試験に合格しても司法修習生として法曹を目指すのか、大きな「ハードル」が設置されたことになります。「ハードル」とは、お金です。法科大学院の授業料は1年間で約100万円。

法科大学院には最低でも2年間、法学部未履修なら3年間、通わなければなりません。

 

お金があるかどうかで、法曹を目指すことを断念する人がいては、ダメだ。

 

私は、そう思い、様々な形で、給費制の復活に助力してきたつもりです。

 

しかし、2年前の年末にその思いは、一気に冷めました。

 

修習生のツイートで、「これから、晩酌」との書き込みを見ました。

 

「晩酌?」

 

脳裏に、「何だと!」という言葉が、突き抜けました。

 

これまで、修習生は「1000万円の借金で大変だ」「パソコンも買えない」などという言葉を何度も耳にしてきたからです。

 

私は、つぶやいた彼(彼女)に「緊張感を持って欲しい」と返信しました。

対して、「缶酎ハイを飲んでいるだけ」と。

 

それにしても「晩酌」という言葉は軽率だと思いました。

日々、中小業者の自殺の報をうける私にとって、「借金地獄」という状況からは「晩酌」などという、のんきな言葉は出てこない。「晩酌」だったとしても、つぶやくべきでない。もっと、緊張感を持つべきだと思いました。

 

こうして、私の給費制存続の運動を支援する思いは、一気に冷めました。

 

あれから、数年後。

 

昨日、司法修習生の裁判所における態度の悪さを指摘するツイートを目にしました。

 

ツイートをされた方(たぶん、弁護士です)も、態度の悪さを見て、貸与制には反対だが、あの態度を見ると、協力したくなくなる、という旨のことをつぶやいておられました。

 

ああ、私と同じだ。場面は違うけれども、同じような思いを持つ人がいるんだ、と思いました。

 

私が目にしたのも、たった一人のつぶやきです。全員が同じではありません。しかし、公の場では緊張感を持ってもらいたいと思います。でなければ、より多くの賛同者を得ることは難しいと思います。

 

今の私にとっては、どちらでもいい話ですが、給費制の復活を目指す方たちは、背後にいる応援者の思いも含めて、自分たちの振る舞いを意識して欲しいですね。